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リセットのとき

2020.11.30 宮古島の暮らし

 ここ十数年来、朝日を浴びながらの朝練は心身をリセットできる大切な時間。
身体のみならず、心のセルフコントロール法はいろいろ学んできましたが、
宮古島に来る前の数ヶ月間、里山の森林ウオーキングを日課にして気づいたのは、
大自然の中に身を置けば、そのような方法さえ不要だということです。
何かに意識を集中する必要すらない。鳥が囀り、蝶が舞う、木漏れ日射す森をただ歩くだけでいい。
心身の疲れ、不快さがいつのまにか浄化されていく。

 いつか、海から登る朝日をただ見つめることのできる場所で住んでみたい。
それが私の憧れの一つでしたが、宮古島で現実のものとなりました。
通勤路の途中に、東海岸から登る朝日に始まり180度一望できる絶景公園を見つけたのです。
自然の中に身を置く心地よさに気付いた私にとって、まさしく夢の中で見たような理想的な場所。

 宮古島に来て1ヶ月。着任したばかり言語聴覚士のOです。
長らく中国で仕事をしていましたが、コロナ禍でやむなく帰国。
宮古島で働くことを選んだ理由の一つに、
今の日本的な価値観、文化、自然から、最も距離を保つことができる場所に、
我が身を置きたいと考えたことがあります。

 沖縄でも随一と言われる美しい海、広大なサトウキビ畑、原生林に、星降る空。
しかし宮古島は想像していた以上に開発が進み、
人口5万余りの島と思えないほどにインフラ整備が進み、箱物行政が横行し立派な公共施設やリゾート施設が乱立しています。

内地のご都合主義とも言える「宮古島バブル」。

宮古島は、一見もはや「何もないことが最高の価値を持つ」と尊ばれる島ではなくなっています。

しかし、コロナ禍によってギリギリのところ、
特にここ数年更に進んだ内地流拝金利己主義の俗化から守られたとも言えるのではないか、と感じています。

コロナ禍がもたらすものは、決してマイナス面だけではありません。

 コロナ後の社会はこれまでとは一変すると、さまざまな領域の識者が指摘しています。
しかしこのコロナ禍を耐え凌げば、元の生活に戻ることができると考えている人は未だ大多数でしょう。
コロナ禍が始まる前からすでに、日本にとどまらず、世界中で自然災害、社会並びに経済の大混乱の兆しが見られており、これまで隠蔽されていた裏事情が次々に暴露され始めていました。
コロナは本格的な大変容のスイッチを入れたに過ぎません。私はここ数年この見方に次第に確信を持ち始めています。

この世の全ては陰陽からなり、陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ずる。
全ては片時も留まることなく変容する。

 中国の陰陽五行の捉え方から見ても、今すでに社会並びにとりまく自然環境の全てが極まっています。
いまの混乱は序盤に過ぎない。
今後さらに驚天動地の大変容を経て、これまでのあり方、価値観が否応なく根底から覆されていく。
従来の己れへの執着を捨て、意識の変容を受け入れ、新しい社会を果たして創りあげることができるのか。
いま私たちはその瀬戸際に立っていると感じています。

 宮古島は薄れたとはいえ、原初的な精神文化、習俗を残す場所。
見えるものは変われど、目に見えぬものは未だ変わっていない。
心を静めて感じろ。

この1ヶ月、雑多な思いをリセット、浄化し、日々心に語りかけてくれるのが、日の出の太陽。
ゼロに、ニュートラルに戻ることができたならば、自ずと新たな道は開かれる。
それは古来より語り継がれた賢者の知恵。
東海の龍は、どうやらそう囁いてくれているようです。
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